[画像:神社本庁公式サイト]
現在では、初詣などの特別な日だけではなく、御朱印集めやパワースポット巡りなどを趣味とする人も増えて昔に比べると少し身近に感じられるようになった神社。
本記事では全国約8万社が所属している「神社本庁」とその関係団体、さらにその地方機関である「神社庁」との違いや、自分が住んでいる地域の氏神様を調べる方法などを解説していきます。
神社本庁とは?
全国の主要な神社を含め、全国神社の大部分(78,482社 ※令和4年版「宗教年鑑」による)が加盟している神社本庁。
神社本庁は、「伊勢の神宮を本宗と仰ぎ、全国8万社の神社を包括する団体」と説明されています。昭和21年1月23日、全国の神社の総意によって設立された組織で、現在は明治神宮の隣(渋谷区代々木)に事務所があります。
日本の伝統文化の継承や祭礼行事の振興を行っている団体というイメージを持っている方も多いと思いますが、その他にも過疎地域にある神社の活性化を目指す活動や、各外部団体と連携した活動、神社の境内を整備する事業を行うなど、その取り組みは多岐に渡っています。
ちなみに、「本宗(ほんそう)」とは神道の用語で、言葉として明確に定義されている訳ではないため説明が難しいのですが、意味を表現するなら「統合の象徴」というニュアンスのようです。
ここで誤解してはいけないのが、伊勢の神宮、つまり伊勢神宮を「頂点」として絶対の権力を持たせているという訳ではないという点です。日本全国の神社の中で最も尊く、特別であり、「神道」という信仰の中心地として「伊勢神宮」を仰ぐ神社たちが集合し、それを包括する組織(=宗教団体)が「神社本庁」です。
「本末関係」があり本寺の権力が強い仏教とはまた違ったニュアンスになるのですね。
神社本庁の関係団体
ここでは、神社本庁に関係する諸団体を紹介します。それらの諸団体はそれぞれの立場から神社神道の考え方を大切にし、伝統維持に努めたり奉仕活動を行ったりといった活動を行っています。
ここでは、それらの諸団体のうち「神道政治連盟」「全国神社保育団体連合会」「全国教育関係神職協議会」を取り上げていますが、その他にも様々な団体があり、神社本庁はこれらの団体の諸活動を推進しています。
■神道政治連盟
神道政治連盟(略称・神政連)は、「世界に誇る日本の伝統や文化を後世に正しく伝えること」を目的に結成された団体です。結成は昭和44年(1969年)で、令和元年(2019年)に50周年を迎えています。
各都道府県に本部を置いており、中央本部は渋谷区代々木の神社本庁内にあります。
[引用元:新道政治連盟公式サイト]
ちなみに、神道政治連盟のロゴマークは、会名の英訳(Shinto Association of Spiritual Leadership)の頭文字である「SAS」と、日本古来の装飾品である勾玉をイメージしてデザインされたものだそうですよ。
■全国神社保育団体連合会
全国神社保育団体連合会(略称:神保連)は、神社を母体とする(もしくは、深い関わりのある)幼稚園や保育園が「鎮守の森を保育の庭に」をスローガンとして相互に提携協力することを目的とした団体です。
結成は昭和27年(1952年)。令和4年に70周年を迎えた歴史のある団体といえます。
「鎮守(ちんじゅ)の森」とは、神社の境内や参道の周りを囲むように設定・維持されている森林のこと。そして「鎮守」は一定の土地に住む人々や建物をお守りする神さまのことを言うのだそう。
あの神聖な雰囲気を感じる神さまの森を子供の遊び場とし、豊かな心を育てる活動を行っています。
■全国教育関係神職協議会
全国教育関係神職協議会(略称:全教神協)は、全国各地の神社で神職として奉仕しながら学校や教育行政機関に勤務する人、または勤務経験を有する人たちで結成された団体です。
日本の伝統文化に基づく教育普及を目的に、昭和35年に発足されました。学校と神社、家庭と地域どちらもに密接する教育現場で活動する現職教員等を対象に研修会を行ったり、全国を9ブロックに分けたブロック研修会を行ったりし、青少年の健全な育成を目指すための研鑽に励んでいるといいます。
全教神協は令和3年に発足60年を迎えた伝統ある団体です。全教神協の下には各都道府県単位(未組織の道県もあります)で置かれた「教育関係神職協議会(教神協)」という組織があり、それぞれに活動を行っています。
神社本庁と神社庁は何が違うの?関係性は?
神社本庁と名前が似ているため混同されがちな「神社庁」は、各都道府県に置かれる神社本庁の地方機関です。
よく神社本庁の下に神社庁がある(上下関係がある)と誤解されがちなのですが、イメージ的には各都道府県の神社庁は東京都渋谷区代々木にある神社本庁の「出先機関」になります。
神社本庁に所属している神社はそれぞれが独立した宗教法人であるため、その運営も基本的には企業では社長にあたる「宮司」を中心に各神社の人員で行われています。各都道府県の神社庁は、都道府県内の神社の事務をとったり、都道府県独自の地域活動の振興を担当したりしています。
氏神様を知りたいときは?
「氏神様」とは、それぞれの地域を守っている神様のことをいいます。「鎮守様」「産土様」などと呼ばれることもあります。ちなみに、各氏神様が守っている地域に住む人すべてを「氏子」と言います。
例えば、世田谷区代沢地区の氏神様は北澤八幡神社、世田谷区代沢地区の住民は北澤八幡神社の氏子というような考え方ですね。
[参考:北澤八幡神社【北澤八幡宮】 - 東京都神社庁]
新しい地域に引っ越しをした時や、赤ちゃんの誕生を祝うお宮参りを行うにあたって自分の氏神様はどこの神社だろう?と疑問に思う方は多いようです。
自分が住んでいる地域の氏神様を知りたい場合は、神社本庁ではなく各都道府県の「神社庁」に確認してみましょう。神社本庁のサイト内に、それぞれの都道府県の神社庁の一覧がまとめられていますので、参考にして下さい。
氏神様は現在自分が住んでいる地域の神社の事を言う(出生地というわけではない)ので、多くは自宅から一番近い神社の場合がほとんどです。最寄りに多くの神社があるなどで合っているか不安な場合は、神職が常駐している神社であれば直接聞いてみると教えてもらえますよ。
まとめ:神社本庁とはどんな組織?神社庁との違いは?
神社本庁は全国にある神社の大部分を包括している宗教法人です。昭和21年に設立されてから今日まで、日本の伝統文化の継承や祭礼行事の振興などに努めてきました。
本記事で紹介した「神道政治連盟」「全国神社保育団体連合会」「全国教育関係神職協議会」やその他神社本庁の関係団体は、噛み砕いて言えば「神道の考え方を通して教育や政治などをよりよくする」「日本の伝統文化を維持・継承していく」などといった趣旨の活動を行っており、神社本庁はそれらの活動を推進しています。
「神社庁」は、各都道府県に置かれる神社本庁の地方機関であり、都道府県内の神社の事務をとったり、都道府県独自の地域活動の振興を担当したりしています。自分の住んでいる地域の氏神様を知りたい場合も、神社庁に問い合わせをすると良いでしょう。
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